現役言語聴覚士が国家試験合格を応援するブログ

このブログは現役の言語聴覚士が、未来の言語聴覚士となる学生向けに国家試験の勉強をはじめ、臨床実習への準備・心構え。また実際の臨床の場面から解説を行うなど、体験談を交えながら有益な情報を発信していけたらいいと考えたブログです。

嚥下ではなく摂食・嚥下









どうも!


言語聴覚士にとって

非常に重要な分野である、


摂食・嚥下



皆さんは


「嚥下」

「摂食・嚥下」


の違いを説明出来ますか?




これにはまず、



人が食物をゴックン(嚥下)するまでの
モデルを理解する必要があります。

摂食・嚥下の5期モデル

先行期

食物をみて、
硬さ、味、温度、匂い、口へ運ぶ量や早速さ、噛む力などを認識する時期


準備期

食物を口に取り込み(捕食)、唾液とよく混和しながら咀嚼をしたり、舌と口蓋で食物を押しつぶしたりする。
頬粘膜や舌などで調節しながら歯列の上に食塊を乗せて噛んでいく。
機能的な問題だけでなく、歯や義歯がないなどといった器質的問題も大きく影響。


口腔期

咀嚼により口腔内にばらけた食物を舌でまとめて食塊形成したり、
咽頭に送り込む動きがみられる。
舌の動きが大きく影響する。
舌の、咽頭への送り込みの機能のことを
舌のアンカー機能という。


咽頭

飲み込む時の「ごっくん」という反射が起こる。
反射が起こる時は一時的に呼吸が停止し、鼻咽腔が閉鎖し食物が鼻に抜けないようになっており、咽頭収縮や舌骨・喉頭の挙上が起こり食道入口部が開大する。


食道期

食物を食道の蠕動運動によって胃へと送る。
自分でコントロールすることはできない。






ここで、

嚥下と摂食・嚥下

の話に戻りますが、



一般に
用語としての、この2つの使い分けは、


嚥下:咽頭期のこと。要はゴックンのこと。食塊が咽頭後壁まで達し、咽頭反射によって起きる、一瞬のゴックンのことです。


それに対し。

摂食・嚥下:口腔期〜食道期の全過程のこと。


を指しています!



なので、実際に患者さんを診る時も、



嚥下 を診るのか、

摂食・嚥下 を診るのか、


で全然対象としていることが違います。



実習生なんかでも多いのが、


患者さんを評価させてみても、

「嚥下」の部分でしか評価出来ていません。


なぜ、この患者さんが
ムセてしまうのか、


このムセひとつ取っても

本当に色んな理由が考えられます。


ただただ、
喉頭挙上筋が低下しているから。



それだけな筈がありません!



臨床の場でも多いのが、


先行期

の問題です。



先行期とは、

目の前にあるものが、食べ物であるということを認識する時期です。

視覚、聴覚、臭覚などを使って認識します。

そこから食欲って湧いてきますよね?

だから
まず、食べ物をこれから食べるという意識が
持てているかどうかってかなり重要です。

今から何が口に入ってくるか分からない状況で、無理やり口の中に入れられることを想像してみてください。

かなり恐怖じゃないですか?

そもそも、

覚醒レベルが悪く、意識低下しており、
閉眼されている患者さんに対しても
無理やり口の中に入れている人もいます。


そんな状況でムセても、

喉頭挙上筋が低下しているから

という評価になりますか??


1つの結果に対しては
いくつかの原因がある可能性が高いです。


咽頭期だけの原因ではないかもしれません。


嚥下を評価するんではなく、


摂食・嚥下を評価することが大切です。